2010-03-10

常用漢字表改定の3

基本的には義務教育の9年間で教へる漢字の数を幾つと統一するのには反対はしない。それを当用漢字と呼ばうが常用漢字だらうが構はない。その扱ひに疑問がある。常用漢字以外の字は名前で使へない、とか。学校で習つてない漢字はテストで書いてはいけない、とか。
もともと「1981年10月1日に昭和56年内閣告示第1号「常用漢字表」の「本表」により発表された漢字使用の目安」で「法令・公用文書・新聞・雑誌・放送等、一般の社会生活で用いる場合の、効率的で共通性の高い漢字を収め、分かりやすく通じやすい文章を書き表すための漢字使用の目安」(答申前文)を示し、1945字からなる。目的は「漢字使用の目安であって制限ではないため、強制力を有するものではない」が、「マスメディアのほとんどは、常用漢字のほかに使用可能な漢字を独自にまたは任意に選定し、常用漢字に準用している。一般的な新聞は、日本新聞協会用語懇談会が示す新聞漢字表に基づき、各社で多少手を加えて、漢字使用を運用している」のださうだ。(以上wikipedia、以下の引用部分も同様)
しかし「法令では常用漢字のみを使用すること」が原則であり、語そのものの言ひかへ、その字のみの平仮名書き、初出の際にルビで対応するなどの運用をしてゐた。例へば「抛棄」を「放棄」に改め、「だ捕」(拿捕)「改ざん」(改竄)「隠ぺい」(隠蔽)など平仮名と併記する。
この法令の部分が悪影響してゐるんだらうなあ。使つちやダメ、使ふのは悪いことだ、といふ風に誤解される。文字を扱ふ新聞が黙つてるんだから。準用だから。準用の新聞漢字表だから。お上に頭が上がらないんだから。なんでも使つて、常用漢字表にないものはルビにすればいいだけだらうに。お陰で読めない字が増え、漢字に関はるクイズ番組が大流行りだ。漢字検定も、さう。要するに新しい商売を生んでしまつたワケだ。悪いことではないが。
かうやつて、漢字の使用が為政者からの制限でをかしな具合に変化してきた、させられたのに、いかにも自然の流れで変化したみたいな言ひかたするのは、どうだらうね。言葉は変化するでせう。環境がかはれば使はない言葉も出てくる。しかし、ある時期に国から、或は占領軍から意図的に、強制的にかへられたといふことは、けして自然な変化なんかぢやない。仮名遣ひもさうだし、漢字も。それと書き順も、正しいものはあるんだけど、それにとらはれない、と添へ書きがあつたはずなのだが、……。