2016-11-15

琵琶湖撃ちの話

10月31日にCTスキャンと骨シンチを受けた。他臓器への転移を調べるためだ。数字のうへでPSAがやや上昇してゐる原因がたとへば骨への転移ではないか、その確認。
CTは前回、造影剤で体が温かくなつてから急にひどい吐き気が来て、どうにか検査終了まで辛抱した、といふ経緯がある。今回は問題なし。
7日にはMRIの検査を受けた。
以前もMRIの検査は受けてゐるが、頚部超音波といふ特定された部位だつたので、あんまりよく覚えてないけど、別の部屋で行はれたのだらう。始めて行つた検査室だつた。
検査室まへの待合で順番待ちしてると他の患者が受けてゐる検査中の技師の声が聞こえて「大きく息を吸つて、はい、止めてください」とレントゲンやバリューム検査みたいな指示がある。ところが、止めてからが長い。あれ、長いなあ、と思つて合図に合せて止めてみた。30秒以上だ。無理無理、オレは素潜りチャンピオンぢやない、ジャック・マイヨールぢやないんだ。ダメなら言はれるだらうけど、出来ないものは仕方あるまい。覚悟した。
部屋に入るとロボットにされるみたいにガチガチ装置を取り付けられる。看護師が耳栓をしようとしたら、男の技師が「要らない」と言ふ。結構音はうるさいけど、耳栓してたら、指示は聞こえないだらうね。
検査室の中ではずつとラップみたいな音が延々と鳴り続いてる。耳を澄ますと、どうも「ビワコウチ」と聞こえる。それを繰り返してる。「ビワコウチ、ビワコウチ」と。「ビワコ」は軈て「琵琶湖」になり、「ウチ」は「内」だつたが、「撃ち」になつた。
息止めは辛うじてクリア。
後日、11日の注射の日の受信で、それらの検査結果を総合すると、背骨の左側、腰の辺りに転移らしいもの、といふ指摘が検査技師からあつたらしいが、担当医は否定。転移はリンパ節のみ。