2012-06-19

当を得た

とうをえた、と読むさうで、かういふ言葉があり、道理に適つてゐるさまを指すらしい。らしい、と言ふのは広辞苑にも岩波の国語辞典にも出てゐない。これをオレはみーんな「的を得た」は「的を射た」のまちがひと同じに扱つてゐたかも知れない。
二三日まへから、三島の「禁色」をまた頑張つて読み進めてゐて、さう言へば吉田健一が三島について書いた文章があつたなあ、と思ひ出し、文庫の解説だつたら補巻二に「愛の渇き」の解説があるはずだけど、「作者の肖像」に谷崎、川端と一緒に書いてたはずだ、と著作集を探して読んだら「当を得た」と書いてる部分がある。あれ、吉田健一まで間違つてるの?と思ひ、念のため辞書で確かめたけど、出てない。ネットで検索してみたら、とうをえた、といふ言葉があるのが見つかつたワケだ。
いやあ、知つたかぶりはほどほどにしないと恥をかくなあ。オマケに「的を得た」でもまちがひぢやないといふ意見もあるさうだが、まあ、これはいまのところ「的を射た」を正しいとしておきませう。