エスプレッソが飲みたい

どこで飲んだのか忘れてしまつたが、実に風味のいいエスプレッソだつたのだ。ここ半年くらゐのあひだと思ふが、年齢とともに加速度的に時間の経過が早くなつてゐるので、1年くらゐにひろげてみても思ひ出せない。ああ、こんなに旨いものなんだ、と感心して以来、何箇所かでエスプレッソがメニューにあれば注文したけれども、違ふ。どれも違ふ。だいたいエスプレッソといふコーヒーを注文するといふ行為自体が殆どないのだから、限定されるはずなのに、まつたく思ひ出せない。しかし、どうしても、特定できないあの時の、エスプレッソをもう一度飲みたい。いつそエスプレッソ・マシンといふのがあるらしいので、それを買つて自分で作ればいいぢやないか、とも考へるが、コーヒー一つ満足に淹れられないんだから、無理だらう。