2008-07-22

水上勉を読み直した

「霧と影」の最初から最後まで読んだわけではない。ところどころ飛ばした。これを本格推理小説と見てよいものかどうか。確かに社長の失踪の謎があり、小学教員の事故死の謎、詐欺事件もあるし、トリックもある。しかし、謎解きが主になつてるわけではない。ドラマと呼べばいいのか。猿谷郷といふ特殊な部落(これは創作でせうねえ)とそこに関はる人物たちの生き方、生き様みたいなものが書きたかつたのだらう。それは「飢餓海峡」がやつぱり人間ドラマをメインにした小説だつたから。解説は篠田一士で、「雁の寺」よりもこつちを推してる。オレは「雁の寺」は読んでないので知らない。「飢餓海峡」もう一度読むつもりで手元にはあるのだが、なにしろ厚いから。内田吐夢監督だつたか、左幸子と三国連太郎だつたかな。映画もよかつたけど。