2016-11-15

物体Xのこと

ずゐぶん古い話で、いまさらだけど。
「遊星からの物体X」といふ映画がある。1982年(日本も同年)公開の、原題The Thing。監督ジョン・カーペンター。主演カート・ラッセル。時代設定は1982年のこと。南極のアメリカ隊での出来事だ。得体の知れない生物で、始めて見たときは狂喜乱舞だね。なんて面白いんだ、と。
それから時は過ぎ、「遊星からの物体Xファースト・コンタクト(元はビギニング)」といふ映画できた。2011(日本2012)年公開で、やはり原題はThe Thing。監督マティス・ヴァン・ヘイニンゲンJr(オランダのCFディレクターで初監督作品ださうです)。時代設定は1982年で、ジョン・カーペンター作品と同じ。南極のノルウェー隊での話。得体は知れないがエイリアンで、グロテスク。CG頼り過ぎみたいな生物。上記映画のノルウェー隊の施設を再現してゐる、つまり前日譚といふワケだ。
で、この「遊星からの物体X」によく似た、「遊星よりの物体X」といふのがあるのは皆さんもご存知でせう。でもわさわざ見た人は余りゐないんぢやないかな。
1951(日本1952)年公開で、原題はまつたく同じThe Thing。但し、下に小さく「from another world!」と出てゐる。監督はクリスティアン・ナイビイ。ずつとなんでも監督してたハワード・ホークスの映画だと思ひ込んでゐたが、製作がハワード・ホークス。時代設定はよく解りませんが、恐らく当時、1950年代のつもりなんでせう。アラスカだか、北極だかが舞台のやうで、アメリカ軍基地での出来事、といふ設定かなあ。X=Thingは人間の形をしてゐるが植物と同じ組成をした生物で、ボリス・カーロフのフランケンシュタインみたいなのだ。
上の二つは同じ南極で時代も一緒の前後譚。片や北極。しかし、吐く息が白くないのはなぜだ?1951年の「遊星より」は暖房が効かなくなる、効かなくする?といふアクシデントがあつて息が白くなる場面がある。1982年の、ジョン・カーペンター作品は最後のシーンでのカート・ラッセルの吐く息は白い。2011年のは、白くないんだけど。見落としてるかなあ。さういふ些細なこと、小姑みたいなところはつつかり見てるんだけど。
これには原作があつて、ジョン・W・キャンベルの「影が行く」(1938年作)といふのだ。読んでみたい気もしたが、手に入るのだらうか。
(蛇足ながら、古い下書きを元にしてるせゐか、あんまり熱意が感じられませんね。)