2008-05-19

されど時には悔恨も

打海文三の本を集め始めて、戸川姫子が出て来るのを順に続けて読み、頁を捲る手は止まらないけれども、「時には懺悔を」の感動はなかつた。警察組織の腐敗みたいなこと、それと背徳的な動機からの身勝手な殺人事件。それが詰まらないワケではないのだが。
なので「時には……」をもう一度ざつと読み直したら、終盤は読み飛ばせなくなつて感動した。生きて行くこと、生きてゐることに充実感を感じる、喜びを感じる、さういふ読後感がある。障害児の子どもをめぐる痛切な、それでゐて抑制の利いたハードボイルドだつた。
アクティブになれる強さを貰へるんだけど、この2冊は「死」といふものを強く感じて虚しさと恐れが残つた。やつぱりアーバンものは「時には懺悔を」でトドメかな。あと2冊あるけど。