2009-11-24

事業仕分けに関する記事の中から

ちよつと古い話題。
11月18日の読売新聞朝刊2面の記事。財務省の主計管(どういふ立場の人なのか、年齢、氏名についても不明)が宇宙航空研究開発機構の人工衛星打ち上げについて「水星探査が国民に利益をもたらすのか」と述べたさうだ。どんな利益を念頭に発言したのか判らないが、読んだ途端に目が点になつたよ。かういふことを真面目に聞く大人がゐるんだなあ、と。確かに目に見える形での国民の利益はないでせうね。それに対する仕分け人で惑星科学者の松井孝典・東大名誉教授(記事のままで、東大、名誉教授だからどう、といふ意図はオレにはない)が「人類共通の利益になる」と反論した、と書かれてゐる。ふむふむ。……しかし、これは利益といふ視点で考へることなんだらうか、と素朴に思ふ。
そもそもこの事業仕分けは税金の無駄遣ひをカットして行くといふ目的だと受け止めてゐるが、例へば公益法人の人件費、天下りが何人ゐるかといふ子ども染みた議論ばかりが報道されてゐるやうで、ならば先づ、現在の国会議員数、各省庁の職員の人数と給料や手当が適正であると言へるのかどうか、国会会期中の経費削減は行はれてゐるのかどうか、まへの選挙で月末に投票があつて、当選した議員に対して日割りではなく、その月の給料全額が支払はれるといふ、通常の会社では常識的に考へられない、公益法人でも、その天下りの給料であつても恐らく考へられないやうな制度について見直しはしないのか、聖域はないのか、もつと言へば皇室に掛かる費用については見直しするのか、自分は、為政者側は温々と蚊帳の外では意味がない。どこまでやるのか明確にして、なによりも先に自分たちの身を削るべきであり、そのうへで国民に協力を求めるのが筋だらう。収入が減れば支出を抑へる。それには先づ、父ちやんの小遣ひから減らすのが、一般常識といふものだ。社長の給料はそのままで、社長室の冷暖房は使ひ放題、車は外車でガソリン代は経費扱ひ、夜は交際費で毎晩飲み歩く、なのに社員の居場所は経費節減、給料も減らす、なんて会社はないでせう。道義的に出来ない、いや、しない。さういふ道徳をオレらは学校で習つたぞ。
メディアやジャーナリズムがそれを突つかない。同じ穴の狢だから、仕方がないか。自浄作用を持たない集団は腐るだけだ。人間もさう、自戒の意味で。