2015-05-29

紋白蝶殺人事件

犯人はワタシです。事件の経緯はかうです。
空き缶が貯まつてスーパーの大きめな(5号とか何号といふサイズで呼ばれてゐるのですよ、むかしさういふ仕事をしてゐたから知つてゐるのです)袋2つ分で邪魔なんだけど、今月は五週あるから金曜日でも缶瓶の収集は来ない(きない、とは読まないやうに、こない、ですからあ)し、さうだ、ベルクのリサイクルボックスに捨てよう、ただ捨てるだけでは申し訳ない、いや、そんなことないよ、よくベルクで買物してるぢやないか、でも、誰かが見てゐて、あいつ買物もしないで缶だけ捨てていつた、なんて陰口をきかれるかもしれないし、ぢやあ、魚介豚骨の付け麺とか買へばいい、ちやうど冷たい麺の季節だし、といふわけで、ワタシはベルク太田植木野店へ出掛けたのです。
缶を捨て、ビニール袋も捨て、店内へ。右にあるパン屋さんにはつい寄りたくなるんだけど、けふは我慢、いつも我慢。さうだ、あした走るつもりだから、その後で昼飯のときにノンアルコール・ビールでも飲むか。お気に入りの黒のプレミアムなんとかがないけど、まあどれでもいい。と、付け麺。さうさう、レギュラー・コーヒーも切れてたなあ、おつと肝心の酒、日本酒も切れてるのだつた。カゴを下げてレジへ。袋持参だと2円引きなので、カードをカゴに入れて並ぶ。隣のレジにベビーカーに乗つた女の赤ちやん連れの主婦がゐた。主婦には興味はないんだけど、赤ちやんを見るとなぜか嬉しくなる。腕の、あの、もちもちした感じが嬉しい。むかしは子どもなんて大嫌ひで五月蝿いだけだと思つていたのが、自分にも子どもが出来て、子ども好きになつてしまひ、最近は年のせゐか赤ちやんを見ると頰が緩んでしまふのだ、などと思ひ巡らしてると清算完了。
その帰りでした。ワタシが農道を走つてゐると紋白蝶がひらひらと飛んできて、車の下に入つていく感じで通り過ぎたのですが、なんと、バックミラーを見ると、そのままひらひら飛んでいく紋白蝶の姿はなく、小さな紙切れみたいな紋白蝶が道路に落ちていくのでした。さうです、ワタシがあの、紋白蝶を殺したのです。どうか、ワタシをお許し下さい。まさか轢いてしまふなんて、……。