2005-08-05

鼻濁音の続き

Wikipediaでは「日本銀行」は鼻濁音になる、と説明されてゐて、複合語の複合の度合いが強い場合は鼻濁音になる例として挙げられてゐる。が、その前に先づ、これは「にほんぎんかう」なのか「につぽんぎんかう」なのか、といふことがある、私の場合。「日本語」は「にほんご」で、広辞苑第二版によれば「とくにニッポンとよみならわしている場合以外はニホンとよませることにした」と断りがあって「にほんぎんかう」が出て来る。
序でに「日本人」は「にほんじん」。「日本一」は「につぽんいち」。「にほんいち」とはよみならはしてはゐない、と新村出氏と広辞苑編纂者たちは判断してゐる、といふことだ。まあ、幾つものデータからさう判断したわけで、これが正しいとは言つてない。指針だから、この場合。さう読んではイカンと言つてるわけではない。
意外だつたのは井原西鶴の「日本永代蔵」は「につぽんえいたいぐら」。「にほん」にも出てるけど矢印があつて「につぽんえいたいぐら」を見ろ、と。こつちを広辞苑は選択しました、といふことらしい。大阪市南区の道頓堀川に架かる橋は「につぽんばし」、東京都中央区にあるのは「にほんばし」。これだけの資料から決め付けるのはをかしいんだけど、「につぽん」は関西系?
話が逸れたけど、オレは「にほんぎんかう」なら鼻濁音で、「につぽんギんかう」ならさうしないやうな気がする。うーん、ちよつと自信ない。少なくとも「日銀」は「にちギん」と読みますね。
Wikipediaの複合の度合いが云々、といふ口調は丸谷才一みたいで気に食はない。オレはその辺の微妙な塩梅をすつかり弁へてんだから、凄いんだから、偉いんだから、といふ優越感モロ出しで鼻持ちならない。丸谷氏の本は昔はよく読んだし、「たつた一人の反乱」とか、すぐにタイトルが出て来ないもので気に入つてる小説はあるけど、エッセイは或る時期を境に「偉さうに」になつてしまつた。偉いんだらうけどサ。松本清張もさうなんだいね。
また話が逸れて行きさうだぞ。
どつちにしても、もう殆どまはりで聞かないからね、鼻濁音。テレビ・ラジオにしてからが、民放なんかゼロかも知んないし、NHKのアナウンサーが全員使つてるとは思へないし、カミさんは鼻濁音自体「なにそれ?」だつたし、娘は確実に「ガギグゲゴ」。息子はどうなんだらう。あんまり話さねえからなあ。