2005-09-20

けふ読み終へたばかりですが、

中町信の「模倣の殺意」。もしもミステリが好きだと自負する癖に、この作者の名前も作品名も知らなかつた(私のやうな)人がゐたら、これは急いで読まないとイカンし、大いに遺憾だね。鮎川哲也の「黒いトランク」、土屋隆夫の「影の告発」と並べて、強引なベスト3を選ぶとしたら、これを入れてもいいかな、と思ふくらゐ気に入りました。読み易い文章で、さらさらと読める。ただ、ちよつと迷ふのはオレ自身が納得出来てない疑問がまだあつて、それがなにかを言つてしまふと、恐らくネタバレになるのでせう。兎に角もうちよつとしてから、ゆつくり読み直さうと思ひます。紆余曲折があつたみたいですが、題名についてはこのはうがいいと思ひます。
↑これはAmazonのプレビューの転載です。9月11日付になつてます。そしてゆふべ、もう一つ創元推理文庫(ホントは「模倣の殺意」の後で直ぐに読みたかつたのに、近所の本屋には早川はあつても創元は置いてないのだ!)から出てる「天啓の殺意」を読み終り、堪能したので一言申し上げたいと思つたのです。(その間 BookOff で100円で売つてた中町氏の「山陰路ツアー殺人事件」といふのを読んで繋ぎましたが空腹を満たす程でなく、でもまあこれは二時間ドラマか何かだつたら結構受けるかも知れません。)
プレビューにある通り、読み終つた途端、やられたと思つたのですが、どうしても納得できない、解らない箇所がある。ネタバレになるかどうか、なにも説明しないで書けば大丈夫でせう。P27の中程で中田秋子が「課長、ちよつと出かけてくるわ」と言ひ足早に出て行くのだが、どこに行つたのか。その前の状況から想像される行き先には行つてないらしいのだ。当然書かれるべき行き先が書いてない。では、どこにも行かなかつたのか。行かなかつたのなら、これは削除すべき部分だらう。しかし恐らく中田はそこへ行つたのだ。なぜならその後でそこへ行かなければ解らないことが書かれているから。新聞記事を読んだとは思へないし、それならさう書けばいいことだ。しかし、……。
実は、どこへ行つたか書いてしまふと、それを具体的に描写してしまふとトリックが露見するのだ。これは間違ひないと思ふ。だからこんなをかしな文章が混ざつてゐるのだ。
しかし、それでもこのトリックには驚くでせう。
さうして次の「天啓の殺意」にもびつくりした。やられたと思つた。お見事です、と。
しかし、これには3点ばかり疑問がある。それをここに書いてしまはうか、どうしようか。もし読みたいと思ふ人がゐたら、余計な先入観を与へてしまふが。さう、これは月刊彦七新聞の「お・ま・こ」に載せます。興味のある方、既にこの作品を読んだことのある方は、そちらをどうぞ。
「模倣の殺意」も「天啓の殺意」も、どつちも実に面白い。読み易さもお勧めだし、トリックに吃驚させられるのは間違ひない。ただ、気付いたことを、余計なことですが、ちよつと言つてみたくて。