2016-04-27

けふは雨が降りますか?

さう声を掛けられた。蟻姫へ行く途中、JRの踏切を渡つて直ぐの通り、旧50号かな、それを織姫交番のはうへ歩いてゐたら、交番手前で、さうね、香雲堂の向かひくらゐかなあ、も少し先かな、はんこ屋さんの戸が開いて、小母ちやんが出て来たのが見えた。オレが近づいて行くまで、じつとそのまま立つてゐて、なんだらうなあ、オレの知つてる人かなあ、いやあ、こんなところには知り合ひはゐないし、たださうやつて立つてるだけなのか、或は誰かを待つてる、さう、オレの後ろのはうから歩いて来る人を待つてゐる、それか車を待つてる。でも振り返るのも憚られる。
そしたら、さうではなかつた。オレが通り過ぎようとしたら(10m、いや20mくらゐ待ちかまへてた、不動のまま、顔色一つ変へず)、いきなり、
けふはゆふがたまでに雨が降りますか?と声を掛けられた。
一瞬、はあ?オレかい?と思つたけど、定年後は特に人見知りが減つたので、
いやあ、この雲だから心配で傘持つて歩いてるんですよ、と答へた。
確かにけふは傘を持つてゐた、330ml入のペットボトルも。傘は一昨年の9月にどしやぶりに合つてから、怪しい天気のときには持つやうにしてる。でなければ、財布か傘を買へる程度の小銭を持つて出るやうにしてる。
しかし、驚いたね。いきなり声掛けられたのには。しかも、そのあとの何の一言もない。